わくのメモ

日頃ふと思い付いたことを書きます。

睡眠についてのおはなし

誰もが考えることとして、人間はなぜ睡眠を必要とするのか?、ということがあるかと思います。今回は睡眠についてのおはなしです。

半分実話です。

 

不眠症

 私は目を覚ました。ということは、寝てる間に何も起こらなかったということだ。時計を確認しようとしたが、この部屋には時計がなかったことを思い出した。私は顔を洗い、髪を整え、きちんとした服を着た。この部屋は防音が良いのか、外の音は聞こえないけれど、きっと外にはたくさんの人がいるだろう。なぜなら、私は世界初のコールドスリープの患者だからである。

 体感では一晩眠ったのと変わらないようだ。何年後に目覚めたのか楽しみだ。予定では100年以上は経っているはずだが、正確な日時は聞かされていないし決まってもいなかった。

 深く息を吸い込み、私はドアを開けた。しかし、そこに広がっていた景色は見渡すばかりの荒野だった。

 何がおこったのかわからなかった。周りを確認してみたが、私が冷凍睡眠に使ったカプセル以外は何も見つからない。これはいわゆるドッキリというやつかな?と疑ってみた。周囲を調べてみたが、やはりそのような痕跡は見つからない。

 そろそろ出てきても良いんじゃないか?

 そう呼びかけてみたけど返事はない。仕方がないから、カプセルに戻った。一眠りすればみんな出てきているだろう。

 しかし、中々寝付けない。それもそうだ。100年くらいは寝ていたんだから、眠気が残ってるはずもないだろう。備え付けの薬棚から睡眠薬を出して少し飲んだ。保存食の封を切って半分食べた。それでも寝付けない。

 本を読んだ。歴史の本だった。難しい本を読んでも一向に眠くならない。私はそろそろ不審に思った。

 この世界の太陽は沈まないようで、あれから何日経ったかわからない。けれど、私は今もまだ眠っていない。食料はとうに尽きたが、なぜか生きていられる。外を歩いてみようとも思ったし、実際にかなりの距離を歩いてみた。けど、何かが見えることもなかった。全てを諦めた私は今ベッドに横になってこの日記を書いている。この日記はカプセルに備え付けの自立型のドローンでどこか遠くへ飛ばすつもりだ。

 これを読んでいる人へ、どうか私を見つけ出して眠る方法を教えてください。